この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「なんだ、何もしてないのか?」


「あ、当たり前だっ」


真っ赤になって否定する俺。


そんな俺に伸太郎は豪快に笑った。


「はっはっは、キスぐらいは逆にしときゃ良いのに。勿体ない男だなぁ」


「……!!?」


「まぁ、うさぎのマサルには刺激が強ぇか?」


伸太郎はにやりと笑う。


な…なんて不謹慎な父親だ。


「し、伸太郎は反対しないのかよ」


「俺か?俺ぁ、まぁちと寂しいけど…マサルなら良いと思ってるよ」


「…………」


伸太郎の言葉にまた赤くなる俺に、伸太郎はふふんと笑った。


「まぁ何にせよマサルはうさぎだからなぁ。お前いまどういう状況な訳?」


「え?」


俺はポカンとする。


それ、知らなかったのかよ!


「何で何も知らないのに俺がマサルだって分かったんだよ」


「あぁ?俺ぁお前の育ての親だぞ?んなもん見た瞬間マサルだって分かるわ」


「…………」


そ…そんなもんなのか?


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