この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
二人きりの森の中、風に草木がサワサワと揺れた。


「マ、マサルさん…」


美代の潤んだ瞳の中に俺が写る。


「ほ…んと…に?///」


美代は恥じらいながら小さく下を向いた。


「嘘なんて…つくかよ」


俺は俯いた美代の頬に手を当てるとゆっくりとその顔を上に向けた。


「ずっと…美代が好きだった」


「…………」


やわらかな美代の頬は俺の手の中で真っ赤に染まり熱を帯びた。


ドキン…


ドキン…


間近に感じる美代の息遣いに、匂いに


俺の五感の全てが反応して頭の芯がクラクラした。


「美代…」


「マ…サルさ…ん」


俺の熱っぽい視線に美代は少し戸惑いながら


俺を受け入れるように瞳をゆっくりと閉じた。


そして


俺も美代に吸い寄せられるように、ゆっくりと顔を近付けていった。


美代…


大好きだ―…







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