この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『なぁ銀…』


昼下がりの午後――…


美代が大学へ行って暇な時間帯
俺は銀と世間話をしていた。


『ん?なんやポ?マサル氏』


『突然だが胸が痛くなる病気って知ってるか?』


『胸っポか?』


『あぁ』


もうヤブ医者は当てにならねぇ


俺は日増しに激しくなる胸の痛みを自分で解決することにした。


『ん―…胸やけならたまにやるっポねぇ』


『いや…胸やけは俺もやるが、それとは違う感じで』


『クルック~…具体的に教えるっポ』


『あ、あぁ…』


俺は最近の出来事をできるだけ詳しく銀に聞かせた。


例えば…

美代の嬉しい顔や悲しい顔を見た時、胸が痛くて息が苦しくなること。


美代に優しく抱きしめられると動悸が激しくなること。


入浴中には特に動悸が激しくなり目眩がして逃げ出したくなること。


俺は全部言って聞かせた。



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