この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

俺は喧嘩ごしになってしまった雰囲気を変えるべく、話題を戻した。



「まぁ、落ち着け美代。だいたいお前…そんな話あり得ないだろ？」


「…？！」


「その…うさぎが人間になるなんてさ」


「…………」


「美代は…本気で思ってるのか？」


俺は美代の瞳を覗きこむ。


「う…？だ…だってぇ…」


「別に…俺は美代が信じるならそれでもいいんだ」


「…………」


「だけど美代が…信じられるのか？」


美代は俺に顔を覗き込まれて、困った顔をした。


俺だって…


本当は美代に嘘は付きたくない


美代が信じてくれるなら
言ってしまいたいんだ…


「仮に…俺が本当にうさぎのマサルだとしたら…美代はどうなんだ？」


俺は思い切って聞いてみた。


「え……？」


「美代は、そんな俺を受け入れられるか…？」


「う…うん…？」


美代は自信なさげに返事をしてから、少し首をかしげた。