この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『クルック~…なんやそれ美代氏が関わっとるっポいね?胸っちゅうか精神的なもんかもポ?』


話を聞き終えた銀は探偵のように言った。


『精神…じゃあ俺は精神科へ行くべきか?』


『カウンセリングで収まるかもしれんっポ』


『カウンセリング…』


カウンセリングと言っても…

うさぎ専門のカウンセラーが、果たしているのかどうか。


『見つからなければ俺はどうなるんだ?』


『クルック~…わからへんっポ』


『…………』


俺は不安になってきた。





そんな時だった。


『ニャ~に馬鹿なこと言っとんニャ』


野太い声がベランダ下から聞こえてきた。


『…ボスか』


ボスはあれ以来、しょっちゅう俺のベランダへ来るようになっていた。


目的は俺と銀の世間話に加わることと、うちの食べ物をもらうこと。


今日も俺たちの話を聞いていたらしいボスは


身軽にヒョイとベランダの柵に飛び乗ると俺を見下ろした。


『バカってなんだよ』


俺は真剣に困ってるのに…


そんな俺にボスは呆れた顔で言った。


『それは恋ニャろが』



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