この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
ん?
なんだ??
俺は言われるがままに手を差し出した。
その手の上に、なにか布のような物が置かれる。
「ふふふ…マサルさん見てみて?」
「??」
俺が手に乗せられたものを見ると、それはほんの小さな巾着袋だった。
器用に作られているが、縫い目の感じは手作りっぽい。
「なんだこれ?美代が作ったのか?」
「うん。中も見てね?」
俺は水色の刺繍糸で結ばれた巾着袋の口をあけた。
中には、小さな黄色い押し花が入っていた。
「それ、森で摘んだお花だよ」
「へぇ、すごいな。綺麗に作れるもんだな」
美代も意外と器用な一面があるらしい。
俺が感心していると、美代はふいに頬を染めた。
「それ…マサルさんが告白してくれた時に私たちの下に咲いてたんだよ」
「え………?」
いきなりの"告白"のワードに、俺は少しドキッとした。
あれからそのことには、どちらとも触れていなかったから…