この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

メッセージ

東の地平線が白んでいた空は、徐々に全体が明るくなってきた。


広い緑地をようやく抜けると、白いアパートが見えた。


その前にはなぜか見覚えのある軽トラックが停まっている。


え?

こんな早朝にヒゲ男が来てるのか…?


近くまで走りよると、玄関の前に座り込んでいたヒゲ男と夏美が俺に気付いた。


「ちょっ…アンタどこ行ってたのよ!!?」


腰をあげた夏美の金切り声が、早朝の住宅街に響く。


「ど、どこって…緑地を探してたんだけど…」


「はぁ?!何時間出歩いてんのよ!こっちはずっと待ってたのに…」


「…な!?」


理不尽に怒鳴り付けられ、俺も思わず眉にしわが寄った。


「ちょ――!!まじストップ!」


そんな俺と夏美にヒゲ男が割って入った。


「夏美!今はそれどころじゃねぇだろ!」


ヒゲ男の言葉に夏美はうっ…となった。


そしてヒゲ男は真剣な顔で俺を見た。



「マサル、緊急事態だ」


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