この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
足早に迷路のようなTV局内を駆け抜け


俺たちはとある部屋に通された。


ドアを開けるとそこは混濁と緊迫感のあふれる雰囲気だった。


無数のデスクにパソコンが並び、その上には紙の山。


頭上にはTV画面も数台並んでいる。


忙しそうに働く人々は俺の登場に一斉にこちらを見た。



な…んだ…?



「ここは報道フロアだ」


戸惑う俺たちに責任者は言った。


「全ての情報がここに集まる。昨日のビデオは外部には極秘だが…ここにいる全員は知っている」


「外部には極秘?」


「あ、あぁ…それもビデオを見てもらえれば分かる」


「…………」


なんだよそれ…


報道フロアの人々がどこか哀れな目を俺に向けているのは気のせいだろうか…?


するとスーツに身を包んだ男が俺たちのところへやって来た。


責任者が頭を下げるところからどうやら更に偉い人らしい。





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