この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「こんにちわ!今日は特別企画で急きょ動物園へやって参りました~☆」


TVカメラの前でにこやかに喋るのは若い女性タレント。


名前は車内でさっき聞いたが…忘れてしまった。


「そして私の隣にいるのはあのマサルさんです☆」


「どうも…こんにちわ」


「私マサルさんに一度お会いしてみたかったんで今日は感激です☆」


女性タレントはにこにこと俺を見た。


「……………」







ん……?


俺が話すのか?


いきなりの沈黙が訪れ、俺は首をかしげた。


一方黙ったままの俺に、女性タレントは焦った顔をした。


「…えっと、マサルさんは突如TV界に現れましたがその素性は全く知られていませんよね?ちなみに歳は何歳なんですか~?」



さすがにプロらしい。


一瞬焦りを見せた女性タレントは完璧に笑顔を取り戻していた。


俺は感心した。





しかし



「俺は5歳だ」


俺の言葉に、女性タレントの笑顔がまたも凍りついた。


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