この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「え…?あ…う…?あ!25歳ですか☆」


「違う。5歳だ」


「…………」


女性タレントは口をあんぐりさせた。



そしてまた沈黙か訪れた。









「一旦CM入れました!!」


アシスタント・ディレクターの声でハッと正気に戻った女性タレント。


「ちょっ…マサルさん台本読みました?!」


女性タレントはスゴい剣幕で聞いてくる。


「台本…?」


「これだよ!こ・れ!!」


ディレクターの男性が丸めた冊子を手に俺たちの元へやってきた。


「あぁ…そういやこんなの渡されてたな」


ディレクターは俺に台本を押し付けてきた。


「渡されてたな?!なめてんのか!あと30秒でCM空けるから、流れだけでも一瞬で頭に叩き込め!」


女性タレントも腕組みをしてウンウンと頷く。


俺はペラペラと台本をみた。




「いや…無理だ。」


「よし、頼むぞ……じゃなくて……はぁ?む…り?」


「あぁ。俺は字が読めん」


「……………」


俺の返事に今度はディレクターとタレントが揃ってあんぐりした。




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