この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『マサルもついて行くブゥか?』


ブタの太郎が俺に言った。



『あぁ、世話になったな』


一人暮らしを始める美代に悪い虫が付かないように

俺は伸太郎から美代の世話を頼まれた。



伸太郎は美代の親父だ。




『何を話してるのかニャ?』


猫の鈴子も俺に近付いてきた。


『豚の太郎が“マサルも行くのか”と聞いてきたから“そうだ”と答えたんだ』


『え?マサルも行くニャ?』


『あぁ、お前とも今日でお別れだ』



猫の鈴子は残念そうな顔をした。


『そうニャの…マサルがいなくなると太郎の言葉も分からなくニャるわね』


『悪いな。伸太郎の頼みなんだ』


『伸太郎さんの頼みなら仕方ニャいわよね』


猫の鈴子は小さく頷いた。

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