この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

接触

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――――…










「お疲れさまっす!!」


「いやぁ、これは特番として後日再放送決定だな!」


「自分、仕事しながらあんなに爆笑したのは初めてっすよ」


「俺も俺も!今日のカメラワークは我ながら完璧だった!」






帰りの取材車内


仕事を終えたスタッフはみな、清々しい表情でお互いの仕事の出来を称えあっていた。


しかし


「…………」


俺は一人浮かない顔で窓の外に視線をやり別の事を考えていた。


『密猟のことはアフリカでも有名だゾウ』


『そういう人間には捕まったら終わりなんだ。奴らは俺たちの命なんて何も考えちゃいない』


『私の知り合いのヒョウでも、捕まっちまった子がいるヒョウ』



頭の中で今日聞いた動物たちの言葉をなんども繰り返す。


俺は今日、動物園を周りながら


一見ただ楽しいやり取りをしているように振る舞いつつ


実は様々な動物達から情報収集も行っていたのだ。


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