この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
この陽気な雰囲気の中にいると現実が分からなくなってくる。


すべてが嘘で…


このまま笑って飯に行けたらどれ程良いだろう…


そして、旨い飯を食って家に帰れば美代が笑って"おかえり"と出迎えてくれる。



少し前ならそれが当たり前だったのに


それがどんなに幸せなことだったのか、今ならわかる。




だけど…


ふいにあのビデオの映像を思い出して俺は胸を押さえた。


瞼を閉じると脳裏に自然と浮かんでしまう、あのおぞましい映像。


縛られ、叩かれる美代ー…


思い出すだけで胸が締め付けられ吐き気がする…


「すまん…俺はこのあと大事な用事があるんだ」





美代……


美代は今頃どこで何をしてる?





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