この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「マサルさ~ん!ほら取っておいで」
―――翌日
俺は美代に連れられて家の前の緑地公園に来ていた。
やわらかな芝生の広場で美代が枝を投げる。
『俺は犬じゃねぇ』
そんなツッコミを入れつつも、俺は仕方なく枝をくわえ美代の元に渡す。
『ほらよ』
「わぁ~!マサルさん天才っ」
美代は大げさに喜ぶ。
『ふん…これくらい普通に出来るだろ///』
まったく親バカっつうか
自分のペットを天才と勘違いする痛い飼い主を白い目で見てきたが、美代も同類だな。
この一週間、どんより引きこもっていた俺。
だけど陽の光を浴びて強制的に走り回っている内に
多少気持ちが軽くなった気がした。
「あ、シロツメ草だ!」
美代は木陰にシロツメ草を見つけると嬉しそうにしゃがみ込んだ。
「あれ?首飾りってどうやって編むんだっけ?」
美代はシロツメ草をいじりながら首をかしげた。
『馬鹿だな。こうやんだろ?』
俺は前足を駆使してなんとなく伝える。
「え?なにマサルさん、教えてくれてるの?やっぱりマサルさんスゴいよ~!」
美代は関心しながら俺の頭を撫でた。