この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
屋上のヘリポートには報道ヘリが停まっていた。


「すご…いな…」


こんなのが本当に飛ぶんだろうか。


初めてみるその大きな乗り物に圧倒されながらも、俺とヒゲ男はバタバタと乗り込んでいく。


「は?アンタも行くの!?マサルだけって言われてんじゃん!!」


当然のように俺に続くヒゲ男に夏美が見上げながら怒鳴った。


「んなの隠れてりゃ大丈夫だって!それにマサル一人で行かせられっかよ!俺はマサルの親友だぞ!」


「は…?あんたいつから親友なのよ!」


「どっからどうみても親友だろ~が!」



どこかで聞いたやり取り


だけど


あの時と違うのは、今のヒゲ男は本当に俺の親友になっているということ。


心に余裕がない中で、俺たちは笑った。



不安と緊張を拭い合うように…






< 411 / 513 >

この作品をシェア

pagetop