この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
大きな音と共にプロペラが回りだし


残される人間はヘリから離れた。



「アンタら二人とも…美代のこと絶対守ってよね!」


プロペラからの送風を受け、髪を後ろにはためかせる夏美が叫んだ。


「あぁ」


「任せとけ!」


俺たちは座席のシートベルトをつけながら答えた。


「それに…あんたも絶対に無事で帰ってきなさいよね!約束破ったらブッ飛ばすから!」


そんなことを言いながら、夏美は泣きそうな顔をしている。


「あったりめ~だろが!なに心配してんだよ!らしくねぇぞ」


「は…!?らしくないってどういう意味よ!」


「ははは、そのままだろ」


豪快に笑うヒゲ男に夏美もあきれたように笑った。





< 412 / 513 >

この作品をシェア

pagetop