この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「あぁ……綺麗だな…」
俺は初めて地球が丸いのだと知った。
こんな時なのに…
初めてみる空からの地球の美しさに俺は心が震えた。
初めて見るはずなのに…
どこか懐かしい光景。
美代にも見せたい。
俺たちのいる地球はこんなにも輝いているんだと。
なぁ、美代…
怖い目に合わせたけれど
まだ間に合うかな
世界はこんなにも素晴らしいぞ
美代――…
美代に教えてあげたい。
「右前方に目的地確認。あと3分で到着予定」
パイロットが無線を口に言った。
その言葉に俺とヒゲ男もその方角を見る。
海には細かい島々がいくつか浮かんでいた。
あの中に、美代が……
現実を目前にして俺の心臓がドクンとなった。
「………ッ」
膝の上で組んだ手が、小さく震える。
やっと……ここまで来た
美代が消えて1日半…
たった1日半がどれほど長く感じただろう
美代…
今、助けに行くからな…!