この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ッ!!!」


銃口を向けられた俺は怒りで唇を噛み締めた。


男の手により、美代の目隠しがゆっくりと外される。


美代は俺と目が合うと、その目を大きく見開いた。



「み、美代……!!」


「ぅう―…………」



口に布を当てられた美代が声を出す。



美代………


「大丈夫…か?」


「う―…………」



大丈夫な訳なんて…ないだろ?


俺は何を言ってるんだろう





「どこも…痛くないか?」



美代は首を大きく縦にふった。



殴られたんだ…

痛いに決まってるだろ…



「もう…大丈夫だからな」


俺のせいで美代を傷付けた



「もう大丈夫だ、美代」


絶対に美代だけは助けるから…


「………ッ」



美代の真っ直ぐ俺を見る大きな目から、大粒の涙がポロポロと溢れだした。




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