この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
ヒゲ男が…殺された?


これは本当に現実なのか?!




俺は泣き叫び、美代は目を見開き泣きながら首をふっていた。




「いや、スマンスマン。仕事柄動物を見ると口よりも先に手が出るタチでね」


男は冷笑すると銃を胸ポケットにしまった。


「さて…うるさい猿も黙ったところで本題にはいろう」


「……ッ!!!」


俺は涙を流しながらも下から男を睨み付ける。


しかし…俺の睨みなんてこの冷徹な男には何も効かない。


男は淡々と続けた。


「ここに来てくれたと言うことは…君は我々の仲間になるという事だね?」


「……………」



仲間?


俺が?


冗談じゃなかった。



しかし…


この男が容赦なく人を殺せる人間だとわかった以上、今逆らえば次は美代の身が危ない…


「…………ッ」


握りしめた拳に血が滲んだ。



悔しい…悔しい…悔しい…


弱い自分が嫌になる…







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