この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「マサル…さん…うぇぇ…ん、マサルさん…!」


美代はそのまま俺の胸の中で泣き崩れた。



美代……


美代……!!







「さて、時間もないのでそろそろ向かおうか」


男の合図で俺たちは廃墟を後にする。


廃墟を出るとき、俺は倒れたままのヒゲ男に目をやった。



ゴメン…

ゴメンな、ヒゲ男。


夏美にも、寿司屋の親父にも、合わせる顔がない…


「後できっと、迎えに来るから」


俺は小さな声で呟くと、美代と一緒に歩き出した。











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