この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
それからしばらく、俺たちは優勢だった。
混乱する武装集団の隙をつき、噛み付き、次々と失神させていった。
しかし、情勢が変わったのは突然だった。
指名手配の男が、どこに隠していたのか
次々に武器を持ち出してきたのだ。
ライフル銃、手榴弾、中にはTVで俺が見たこともないような物まで…
そして、それを見た俺はネズミ達を撤退させるしかなかった。
あんな武器と忠兵衛たちを戦わせることは出来ない…
撤退せずに残ったネズミもいたが、そこからは早かった。
「これは…マサルの仕業か!?マサルはどこだ!!」
怒り狂った指名手配の男が、体にまとわりつくネズミを砂浜に叩きつけながら叫んだ。
「…!!!」
小さな体を砂浜に打ち付けるネズミを見て、思わず俺はギュッと目を閉じた。