この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「………!!!」


思わず怯む俺。


男はそんな俺を薄目で見下す。


「そうだ…それでいい」


そして男は怒りで顔に血管を浮かべながら、空いた方の手で俺の腕を掴んだ。


そのままグイグイとセスナ機に向かい、俺を引っ張り歩き出す。


「ゲームオーバーだ。もう諦めろ」


「くっ……」


俺から引き離され、取り残された美代は1人震えていた。


俺は目で美代に合図を送る。



美代…!

今のうちに逃げるんだ!!

美代だけでも、今なら助かる!









しかし


美代は落ちていた木の棒を拾うと、震える足で俺たちに追ってきた。



だ…駄目だ、美代…!!




美代は俺たちに追い付くと、ポカッと男の頭を棒で殴った。


「マ…マサルさんを離せぇ…!!」


震える声で反抗しようとする美代。


「…………」


男はそんな美代に氷のような視線を送ると、そのまま容赦なく銃口を向けた。


「黙れ小娘が」




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