この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
……ッ!!!!


俺は咄嗟に男に飛びかかると、そのまま砂浜に倒れこんだ。


「ぐぁっ」


背中から砂浜に崩れる男と、その上に馬乗りになる俺。


「美代…!早く今のうちに逃げろ!」


俺は力一杯男をねじ伏せ叫んだ。


しかし美代は首をふる。


「い…嫌だよ…!!マサルさんも一緒に…」


「ダメだ!頼む!早く……ぐぁッ」


俺が男に馬乗りになっていたはずなのに


気付くと男はいつの間にか俺の腕を後ろ手に掴み、俺をねじ伏せていた。


「マ…マサルさん!!」


「くっくっ…私を誰だと思っているんだ。裏切り者には調教が必要だな」


そう言うと


男は俺の右肩に腕をかけ、その関節をパキッと外した。



―――…!!!?



「ぐあぁぁあぁ―……!!」


猛烈な痛みが俺の体を襲い、俺は叫んだ。



「きゃ―――!やめて――!」


「ふふふ、次は女にも同じ事をしてやろうか」


男はポキポキッと指をならす。



「や…?!やめろ!!頼むから美代には手を出すなっ…!!」


「なら言う事を聞くんだな」


男はふんっと立ち上がると、砂まみれになったスーツをさっと叩いた。


そして乱れた髪を両手ですっと後ろに固め、中指で眼鏡を直した。




< 436 / 513 >

この作品をシェア

pagetop