この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「あ、パイロットならここに…」


武装男の1人が怯えた声で答える。


その隣には、ネズミとの戦いで未だに気を失っているパイロットが横たわっていた。


「ちッ…なんでサッサと言わないんだ!この能無し共がッ」


「ひぇ…す…すみません…!」


「どいつもこいつも殺されたいのか…!」


指名手配の男は罵声を飛ばし、操縦席に移った。


「私が操縦する!!」


男がエンジンをかけるとセスナのプロペラが回り出す。


「マ…サルさん……」


美代は半泣きで俺にすがりついた。


まずい………

どうしたら………


セスナ機はゆっくりと動き出す。


どうする……!?


このまま飛び立ったら今度こそ美代を救えなくなる……


だけど


敵だらけの機内では、もはやどうすることも出来ない…


俺は絶望と焦りで唇をかんだ。





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