この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
く…苦しい…
痛い………
息がうまく吸えない…
「はぁっはぁっ…ぐ…」
酸素…酸素が欲しい…
肺から空気が漏れていくような感じがする。
そんな俺を、美代は間抜けな顔でポカンと見ていた。
その様子から、美代は無事だったんだと悟る。
苦しいけれど、ちょっとホッとする俺。
「マ……サル………さん…?」
美代は小さく震えた手で俺の頬に触れた。
「ど…どうしたの……?」
どうしたの…?だと?
「ば…か。撃たれたんだよ…」
美代の間抜けな質問に俺は小さく笑いながら、かろうじて声を出した。
しかし
「ごほッ…がはッ…」
途端に俺は大量の血を吐いてしまった。
美代の腕が赤く染まり、口内には鉄の味が広がる…
「…!!!」
俺の血を見て目を見開く美代。
鈍くさい美代はようやく事態を飲み込んだのか、急に慌て出した。