この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「マ、マサルさん…!!!え?嘘!?ど、どうしよう……」


「だ…いじょうぶ…だから落ち着け…」


「大丈夫じゃないよ!!?やだ…どうしよう、どうしよう…!!」


パニックを起こした美代の目がウルウルと滲み出した。


その隣で、ボスも混乱しているようだった。




「ボス…頼みが…ある」


『……ニャ?!』


俺の声にボスも我にかえったようだ。


「今の…うちに…美代を連れて…逃げろ」


美代はもう駄目だ。


俺が言っても聞かないだろう。


だけど


大事な金ズルの俺を打ってしまった事で、少なからず指名手配の男もうろたえていた。


逃げるなら、チャンスはきっと今しかない。


今しかないんだ…!



『だ…だけどマサルはどうするニャ!?』


「俺は…後から逃げ…る」


『う、嘘ニャ!!マサル死ぬ気だニャ!!』


「頼む…ッ!これが最後の頼みだ…からッ!」


俺は出ない声を振り絞った。


そしてゴホッとまた血を吐く。


『…………ッ!!!』


ボスは目に涙を溜めながら俺を見た。





頼む、ボス……


美代を救いたいんだ……



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