この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ぎ、銀さん!ちょちょっ、タンマや!タ~ンマ!」


山吹がすかさず銀の前に立ちはだかる。


「俺らは天使やで」


「……!!」


山吹の言葉にハッと我にかえった銀は、そのままシュンと落ち込んだ。


「すまないっクル…取り乱したっポよ…」






その様子を見ていた、指名手配の男はズリズリと後退りをした。


「く…そったれ…こんな化け物どもに付き合ってられるかッ!」


男はそう吐き捨てると、傾いたセスナ機に向かいこっそりと走り出した。















一方、その頃――――…




マサルや美代が去った無人島の廃墟の中。


隙間のあいた廃墟の屋根からは光の筋が射し込み


倒れたヒゲ男を静かに照らしていた。





ニャ―…ン



静寂を保ちながら、一匹の黒猫がヒゲ男に近付いてきた。


黒猫は、しなやかな体に大きな瞳でヒゲ男を見下ろすと


カリ…っとその指先を噛んだ。


指先に赤い血が滲み、ヒゲ男の指先がピクリと動く。




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