この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
だけど…
ヒゲ男は唇を噛んだ。
美代ちゃんを…救って帰ると約束した。
マサルも今ごろ、俺なんかよりもっと痛い目にあってるかもしれない。
なにより…
ヒゲ男は夏美の顔を思い浮かべていた。
意地っ張りなアイツが、涙をためて俺をここへ送り出してくれた。
アイツは今もきっと、俺が無事に皆を連れ帰ってくることを信じてくれているはずだ。
なのに今逃げ出したら…
男として夏美に合わせる顔がねぇ…
「よぉし…アキラぁ…男になる時が来たぜぇ……」
ヒゲ男は意を固めると、銃声が聞こえる方へと歩き出した。
しかしその時
ガツッと何かにつまづきヒゲ男は転けそうになった。
「ってて……な、なんだよ!?くそ…」
出鼻を挫かれた思いでヒゲ男は足元を見た。
そしてヒゲ男は目を真ん丸にした。
「ッ!?」
「は…はは…俺ってやっぱり超ラッキー…?」