この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「マサル氏の傷口を手当てするっポ」


銀はしゃがみ込むと俺の腹部に手を当てた。


すると、傷口がぽわっと光り、温かくなった。


「…………!!!」


美代とヒゲ男はその光を見て息を飲んだ。


「あ、せや」


山吹はいつの間にか後方で大人しく座っている動物たちを指差した。


「マサルさんが呼んだ動物さんたちも皆、心配してはるで?」


武装集団に隣接するようにたたずむ動物たちは時折、悲しげに吠えている。


一方、野放しのライオンやゴリラに囲まれ、監視されている武装集団は悲鳴をあげていた。


「それにしても…えらいむちゃしたなぁ」


「へ…へへ」


呆れたように笑う山吹に俺も笑った。


「あ…あんた達…一体何者だ!?」


ヒゲ男はかろうじて声を出した。


山吹はポリポリと鼻をかく。


「まぁ…世間一般でいう天使っちゅうやつやな」


「て…天使…?!」



「内緒やで?」





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