この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
しかし


美代には俺が死ぬことが、まだ受け入れられないようだ。


「え……?なんでマサルさんも山吹さんも笑ってるんですか?」


固まっていた美代の目に、徐々に涙がたまっていった。


「ぎ…銀さん、もう少しだけ治療してみてもらえませんか…?」


「え?み…美代氏…」


「お…お願いします…私の分の命も使っていいですから…」



美代は震える声で銀の手を握ると、もう一度傷口にあてがった。


「ま…まだ治ってないところが…あるだけですよ」


「ク…クルック~…」


銀は困った顔をした。



「私の命も足せば…マサルさん、助かりますよね?!」


美代は懸命に銀の手を俺の体にあてがう。


「ほら、早く私の命…使ってくださいよ!銀さん達、天使なんでしょう?」


しかし、銀の手はいつまでも光らなかった。


「み…美代ちゃん…」


ヒゲ男が呟く。


「お…俺の命も使ってくれ!」


「む…無理っポよ!」


ヒゲ男に肩をつかまれ銀は叫んだ。


「気持ちは分かるっポよ…だけど…もう…」


そこまで言うと銀も涙ぐんだ。





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