この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
一方、銀は困った顔をしていた。


『クルック~残念やけど山吹はここには呼べないっポよ。頼めば編んでくれるやろけど…それじゃマサル氏が編んだことにはならないっポ』


銀は申し訳ないという感じで俺を見た。


『そうか…そうだよな』


俺はベランダに散乱したシロツメ草を見つめて肩を落とした。


ベランダには、ここ数日で失敗してボロボロになった大量のシロツメ草が無残に散らばっていた。


『ニャ~に、まぁ難航中だけどなんとか俺たちでやるニャ~』


『…そうだな。サンキュー』


俺が気弱になってどうすんだ。


俺は気を取り直しまた編み始めた。



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