この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「う……ぅ……」






ポタポタッ…


俺の頬に美代の涙が落ちた。


「だって…そんな…あんまりだよ…マサルさんが何をしたっていうの?」


俺の頬に美代の涙が次々と落ちてくる。


「天使や神様がいるなら…こんな結末あり得ないよ!!」









「み…よ…」


俺は何とか声を出すと、美代を見つめた。


この目にはもう何も見えないけれど…


悲しむ美代の気配は感じる



「みよ…泣く…な」


泣かないでくれ、美代


美代が泣いたら俺も悲しい


「む…無理だよぅ…マサルさ…ん…嫌だよ…」


美代は俺を抱きしめた。


「一緒に帰ろうよぉ…
一人じゃ帰れないよぉっ」


小さく震える美代の体。


俺の首筋が美代の涙で濡れる。



美代…


出来ることなら


このまま腕を回して、美代を抱きしめてあげたい。


また俺が守ってやりたい。


美代の涙をぬぐって、美代を笑わせてやりたい…




だけど、ごめん


腕が動かないんだ…


ごめんな美代


もう美代を抱きしめてやれない。







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