この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ひっく…一人にしないで…マサルさん…うぅ…これからも…一緒に…お願いだよぉ…何でもするから…」



泣きじゃくる美代。



そんな美代に俺は小さく言った。



「み…よ…ポケッ…ト」



「え……?」



「ポ…ケット…みて…」



「………う…ん」


美代は涙を流しながら俺のポケットに手を入れた。


「……!」


そして美代は、その中に入っていた二つの御守りを手にした。





「………これ…」



美代が作ってくれた水色と桃色の刺繍糸の御守り。


桃色の方はぼろぼろになってしまったが…



「ずっと…す…きの…御守…り…だろ」


俺は小さく笑った。




ずっと好きの、御守り


体はなくなっても、この気持ちはずっと変わらない。



「美代が…持って…て」


俺の分まで、美代が持ってて。


俺が死んでも、ずっと美代を見守れるように。


ずっと美代の傍にいられるように



「マ…マサルさん…私も…ずっとずっと大好きだよぉ…」



「へへ……ありが…と」


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