この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「太郎…ありがとな!」


伸太郎は太郎に叫んだ。



そして、祈る気持ちで意識を空に飛ばした。



もし……


マサルの声が全ての動物たちに届いていたってぇなら…


俺の声も届いているだろうか?


みんな……


どうかもう一度だけ奇跡を―…


頼む…


どうか、どうかマサルを救って欲しい







「助けてくれ…!!」
















それは、とても幻想的な光景だった。



動物たちはみな同じ空を見上げ


まるで世界中の時間が止まったようだった。



風はいつしか止み



黒い雲が立ち込めていた空には流星群のように光が流れ


光の粒が島の上に集まった。



そして深々とふる雪のように、光の粒が無人島へと降り注いだ。



降り注ぐ何億もの光の粒にマサルの体が光に包まれていく。






「き…れい……」



美代は思わず呟いた。



「綺麗だよ…マサ…ルさん…」



優しく眩しいその光景に、美代の心は震えていた。



止めどなく流れる涙に、

どうかマサルが生き返って欲しいと願いを込めて。



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