この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
そこへ


ガラガラッ


ベランダから、人間姿のメイが入ってきた。


「すまぬ。遅れた」


『お、メイ!ちゃんと靴脱げよ!汚れるから』


「…わかっておるわ」


「あ、メイちゃんいらっしゃ~い!」


12畳程のリビングは、あれよあれよと埋め尽くされていく。



「な…なんか無法地帯だなぁ~おい。狭くて座れね~よ」


「ならヒゲは帰れば良かろう」


メイの毒舌に笑い声が響く。





そして夕飯の支度がキッチンに整った頃、山吹がマサルを見た。


「それにしてもマサルさん、いつまでうさぎのまんまでおるねん?」


マサルは美代の膝で白いおにぎりをむしゃむしゃ食べている。


『そ…そんなの俺が聞きたい』






あの復活術の後―――…


うさぎのマサルは眠りについたままだった。


そこからどのくらいの期間で復活を遂げるのか、


最終的に人間になるだけの力が戻るか


それらは全て、マサル次第だと伸太郎は言っていた。



ちなみにマサルが目覚めたのはそれから実に3ヶ月も後の事だった。



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