この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「はい、飲んで?」


「は~…こりゃどうも」


美代がぼんやり水を飲むあいだ男はせっせと布団をひいていた。


俺は意味もわからずただその光景を眺めながら美代にすりよった。


『おい美代…大丈夫か?かなり飲まされたのか?』


「あ、マサルしゃん…田中美代ただいま帰還しました!」


美代はぺたんと座りながらまた敬礼した。


『バカ!心配したんだぞ!てかアイツ誰だよ!』


「ん~…よちよち」


俺の心配をよそに


美代はふにゃりと笑いながら俺を撫でた。


ダメだ…完全に酔ってる…


「美代ちゃん」


布団をひき終えたアイツは戻ってくると美代の腕を引き上げた。


「布団ひいたから横になりな?」


「ふぇ?ありゃ、すいましぇん…」


美代はふらふらしながら立ち上がる。


「あ、でも私シャワー浴びてから寝るんれ…しぇんぱいは帰ってくらさい?」


「なに言ってんだよ。こんな状態でシャワーなんて無理無理」


男は笑いながら美代を布団まで連れて行った。



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