この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
――パタン









男が玄関を出ると


再び静寂を取り戻した俺と美代の部屋…


『……………は』


ようやく肩の力が抜けた俺は、よろよろと美代の傍にすりよった。


「ん……」


美代はいつの間にか、そのまま布団の上で寝ている。


『おま…この状況で寝るなよ』


美代の目からはこめかみにかけて一筋の涙の跡が付いていた。


『…………』


性欲に狩られた人間の男の恐ろしさを


俺はまざまざと見せ付けられた。


男が去った今も――…


不安にかられていた俺は、そのまま美代の横で夜を過ごした。


なんにしても

美代を守れて良かった――…



美代はよっぽど酔っているのかそのまま朝まで起きる事はなかった。



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