この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
家から徒歩10分


集合場所である老人ホームの前には既に数名の大学生がいた。


「美代!毎度毎度、遅いぞ!」


「ひゃ~部長すみません!」


大きな怒鳴り声に反応して美代は小走りで走り寄る。


暑い中を歩いてきた美代は既に汗だくだ。


バッグの中の俺も結構暑い。


「すみませんでしたぁ…」


肩で息を整えながらペコりと頭を下げる美代。


「全く、本当に頼むよ。」


「はぃ~…あの、ついでにですね~?もうひとつ申し訳ないことが…」


ハンカチで汗を拭いながら美代はおそるおそるバッグの中から俺を出した。


美代に脇腹を抱えられ、全員の前でぷらんとなる俺。


『なんで俺が申し訳ないことなんだ?』


美代が謝る必要なんかねぇだろ


ぷらん状態でふんぞり返る俺に


「わ~!!可愛い!」


女子大生たちが黄色い悲鳴を上げた。


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