この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「おいおい…動物は許可がないと困るよ」


黄色い声とは反対に部長は苛ついた声を出す。


「はい!本当にすみません!」


美代は部長らしき男性にペコペコと頭を下げる。


「まぁまぁ、お爺ちゃんお婆ちゃん達の癒しになりそうじゃない?」


美代を慰めるように部長と肩を並べていた女子大生が言った。


「はぁ~…責任とるのは俺なんだけど。とりあえず交渉してくるから。全員待ってて」


部長はため息をつきながら施設内へ入っていった。


「ぐすん…」


『落ち込むな、美代。』


どうやら無理やりついてきた俺が悪いようだ。


ちょっと反省する俺。


そんな俺は部長が交渉に行っている間、いつの間にか女子大生のアイドルと化していた。


「次、私抱っこさせて~」


「や~ん、ふわふわ」


腕から腕へたらい回しにされる俺。


『ちょ…暑いんだけど』


俺が救いを求めるように美代を見ると、例の男が美代に話しかけていた。


『あっ!美代…!』


俺は美代を守ろうと慌て女子大生の腕から抜け出そうとした。


「やん、次は私が抱っこ!」


『ちょ…離せよ!』


「暴れちゃだめ~」


『こらっ離せよ…!』


しかし、見た目よりも腕力の強い女子にガッシリと抱き締められ


俺は美代と危険な男に近付くことも出来なかった。


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