この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「う……!!」


眩しい光に目が眩む。


俺が慌てて目をギュッとするとそれと同時に体中に血がめぐる感覚があった。


「っ……!??」


いきなり流れる血液に


三半規管がぐにゃんぐにゃんに回り、頭痛に加えて吐き気もした。


「っうぅ………」


目が霞む……


やっと闇を抜けたと思ったのにまたぼやけだす意識。


『!!』


そんな俺の意識を呼び戻すようにまた銀が大声を出した。


『マサル氏!!目覚めたっポね!しっかりするっクル~!!』


銀が大声と同時に俺の手を思い切りつつく。



――っ!!


「いっ……」


その鋭い痛みで俺の意識はまた戻ってきた。


『マサル氏……!』


「ぎ……ん…?」


な…んで?


俺が重い瞼を薄く開くと目の前には確かに銀がいた。


「俺……死んだ…んじゃ…?」


俺がゆっくりと辺りを見渡すと


そこは美代の家の玄関の前だった。


意識が戻る時に眩しい光が見えた気がしたが辺りはすっかり夏の夕暮れ時。


生ぬるい風が頬をなでると、


どこかから微かに風鈴の音が聞こえた。


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