この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
そんな俺に銀は大きくうなずいた。


『もちろんックル!ただし期限があるっポよ』


「…期限?」


『クルック~。マサル氏の中に今ある魂は、本来の魂から切り離した部分っポ』


「あぁ」


『切り離された魂の大きさからして…もって1ヶ月くらいっポ』


「1ヶ月…」


『クルック~。だけど1ヶ月あれば美代氏の魂と体も安定するっポ』


「…わかった」


俺が大きく頷くと銀もうなずいた。


『美代氏たちの記憶は操作してあるっポ。あの事故でうさぎのマサル氏はトラックに退かれかけて、そのまま逃走したことになってるポ』


銀はバサバサと一度薄暗くなってきた空へ羽ばたくと


またすぐに戻ってきた。


『多分もうすぐ帰ってくるっポ。あとマサル氏は正体をバラさない方が良いって、山吹が言ってたっポよ』


「わかった」


確かに、うさぎの俺が人間になったなんてバレたら大騒ぎだ。


『クルック~では僕は暗くなると飛べないからもう帰るっポ』


「あぁ。色々ありがとう…!」


『クルック~』


俺が礼を言うのと同時に銀は空の向こうへ飛んで行った。

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