【短】君が僕を忘れても、僕は君を好きでいる
「……波の音……聞こえるね」
君の小さな声が聞こえた。
「もう少し明るい時にくればよかったかな?」
僕はタバコの火を消し、君の肩を引き寄せた。
一瞬だけ肩を震わせ、僕を見上げる君。
「前にここに来たこと、イサムは覚えてる?」
「ああ、付き合ったばっかりの頃だったね」
覚えてるに決まってる。
忘れたくても忘れられるわけがない。
二人でふざけあって、大声で笑いあった想い出の海。
「あの時、二人ともビショビショになって、風邪ひいたよね」
「えっ、風邪ひいたのは、樹里菜だけだよ。樹里菜がはしゃぎすぎたから」
「あれ……そうだったっけ?」
あの時はたしかにあった君の本当の笑顔。
君の小さな声が聞こえた。
「もう少し明るい時にくればよかったかな?」
僕はタバコの火を消し、君の肩を引き寄せた。
一瞬だけ肩を震わせ、僕を見上げる君。
「前にここに来たこと、イサムは覚えてる?」
「ああ、付き合ったばっかりの頃だったね」
覚えてるに決まってる。
忘れたくても忘れられるわけがない。
二人でふざけあって、大声で笑いあった想い出の海。
「あの時、二人ともビショビショになって、風邪ひいたよね」
「えっ、風邪ひいたのは、樹里菜だけだよ。樹里菜がはしゃぎすぎたから」
「あれ……そうだったっけ?」
あの時はたしかにあった君の本当の笑顔。