ちいさな手
傷ついた心
バイクに乗りながら昔の記憶を思い出した。

毎日繰り返される暴力

親はそれを躾(しつけ)と言った。

親は子供の幸せの為に教えるんでしょ…


それが躾……


でも、こんなに叩かれて顔にアザが出来て、私が幸せだったと思う??


それは、ただの、親のストレス発散。

仕事がうまくいかなかった時。


お客さんの苦情があって謝りに行った時。


お金がなくて支払いに困った時。


決まって、父は家でイライラし、家族にあたたった。


俺が仕事から帰ってきてるのに、なにゴロゴロしてるんだ………

ゴロゴロ寝てなんかいない………

ただコタツに入って『お帰りなさい』って言っただけじゃない…

それなのに叩かれた。


だから父が帰ってくると、母は台所にたって、私は宿題のノ−トを広げた。

それがいつものパターンになった。

家にいても安らぐ場所はどこにもなかった。


ある時、夜中に起こされた。

私が歯医者に行き歯の治療で歯を抜かれた事に爆発して怒りくるってた。


『なんで、俺の了解を取らないで、歯を抜くんだ…』

母親も、かなり怒られて殴られた。


……えっ??歯を抜いただけで、そんなに怒ること?


本当に怒りのスイッチがどこについてるかわからない。


明日、学校なのに夜中の1時に起こされ、歯医者に電話すると騒いでいる父を見て呆れた。


こんなに怒ってると、どうすることもできなかった。


だから、母と二人でひたすら謝った。


2時間ほどして、父はそのまま怒って寝た。


『学校なのにゴメンね…お父さんを許してあげて』

母は憔悴しきった様子で私に謝った。


そんな、母を見捨てて、私は家を出た。


結局、父の虐待に耐えられなかった。

逃げなきゃ……父を殺しそうだったから……

自分の中の言い訳。


私はいつも母に言った言葉があった。


『お母さんは、好きでお父さんと結婚したんだから、我慢できるけど。私はお父さんを選んで生まれてきたわけじゃない。』







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