【短編】恋道*恋スル帰り道
「俺の電車、五分遅いんですけどね」
嫌味っぽく言う、この生意気なやつ、隆太。
「たった五分じゃん!そんなこと言ってまた終電逃すよ?」
24時まで営業してる居酒屋のバイトは、
忙しいとギリギリまで働くことも、しばしば。
「それは、美空(ミア)さんもでしょ」
そういうあたしもついこないだ、終電を逃したばかりだ。
その日は暇で早上がりになり、
隆太を含めた四人でゆっくりまかないを食べていた。
話に夢中になりすぎて、
隆太に「時間だいじょぶなの?」と言われた時には、
時すでに遅し!
どの口が言ってるんですか?
って、いう顔で
隆太がにらむ。
「まーまー!
久しぶりにみんなで騒いで楽しかったじゃん?」
隆太の肩をぽんっとたたきながら、なだめるように言うと
「俺、その翌日、テストだったんだけど‥」
さらに、ぎろっとにらまれた。