【短編】恋道*恋スル帰り道
一粒、涙がこぼれたけど、
深夜の暗闇じゃわからないだろう。
「‥ご、ごめん!
靴のヒモほどけそうだったからさ‥!」
ぱっと、しゃがみこんで、ヒモを結び直す。
「早くしてくださいよー!」
「ごめん、ごめん」
へへっと、笑い、
かがんだまま、涙がひっこむのを待った。
よかった。
隆太には、泣いてるのバレてないみたい。
あぶない、あぶない。
この1年隠してた気持ちが、
涙ひとつでバレてしまうところだった。
まあ、鈍感なやつのことだから、
そんなんじゃバレないかもしれないけど‥。
「できた!」