選択
どれぐらいその場にいただろう

「鈴木仁美さん?」

ふいに声をかけられ顔を上げる

見知らぬ男が目の前に立っていた

「?」

私が頷くと男は私に立つように促した

「この子が巧君かな?」

巧が頷くと男は静かに語りだした

「お母さんには申し訳ないんですが」

「?」

「巧君をこちらでお預かり致します」

男はそういうと巧の腕に手をかけた

「!?」

何?

何言ってるの?!
私は巧に伸びた男の手を振り払った
「あなた・・だっ誰なんですか!?いきなり巧を預かるってなんなんですか?!」
「後でご説明します」

男はまたも手を伸ばし巧の腕を掴もうとする

「やめて下さい!だれか!」
私の叫び声を聞き付けてくれたのか人影が見えた
安堵したがそれは直ぐに恐怖に変わった

明らかに病院スタッフではない男二人が近寄ってきた
「?!」

男二人に私は押さえ付けられ巧は抵抗虚しく男に抱え上げられた

「巧!」

「まま!まま!」

巧の泣き叫ぶ声に私は必死に抵抗するが男達に押さえ付けられ身動きが取れない
「まま!まま!ままぁ!」

巧の叫び声が小さくなっていく

「巧!巧!」


その時いきなり右腕にナニカを刺されたような感覚

その瞬間私の意識が途切れた





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