選択
絶望感が私を支配する

立っている事すら苦痛になり私は座りこんでしまった

放心状態の私を哀れんだのか 声が再び話し掛けてきた

「何か希望があれば・・」

希望?
希望は巧が完治してここから出て家族仲良く暮らす事・・

家族・・ 旦那がいた!

もし旦那が感染していないなら巧の側にいてあげられる!
感染を防ぐ為にガラス越しになるかもしれないけど
少しはマシだ!

少しでも巧の支えになれる!

「主人・・主人は感染してるんですか?」

私の問いに声は答えた

「ご主人は感染されていないです」

主人に・・主人に逢わせて下さい!」






私の願いは2時間後に叶えられた

私は声に促されるまま壁のボタンを操作し一週間前に通ったドアをくぐり抜けた
一週間前に歩いた長い廊下を横目に 目の前のドアの扉を開けた

部屋は真ん中がガラスで仕切られていてガラスの向こうには一週間ぶりの旦那の顔があった

「あなた・・」

私はガラス越しの主人に走り寄った

無言の旦那

私はせきをきったようにはなし出した

巧の今おかれている状況
私が感染していること

話ながらまた泣いてしまいそうになるのを堪えて



「俺には何も出来ないから」
私が話終わると旦那は吐き捨てるように言い放ち席から立ち上がった

旦那の予想外の言葉に私は一瞬旦那の言った言葉の意味がわからなかった

「なんて?」

私の言葉に旦那はいらついたように声を荒げる

「オマエラともう関わりたくないんだよ!」


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