選択
「感染研究センターのやつらだ・・間違いない」

「感染研究・・センター・・・」

「センターの奴らが動くって事は由紀はナニカに感染したって事なんだろう
それであんな事に・・」

主人は頭を抱えこんだ

「何に感染したのか感染源がなんなのかそれはわからないが・・」


「わからない・・」

「今日これから感染センターに行ってみよう・・由紀の遺体もそこに運ばれてるはずだ」

主人が肩を震わせながら消え入りそうな声で呟く

「せめて・・せめて・・由紀がなんで死んだのか・・それぐらい・・親の俺達が調べてやらなくちゃ・・」


感染センターへの道のりは途方もないぐらい長くかんじた

二人とも一言も交わさずに車のエンジン音だけが聞こえる

感染センターは山の中にひっそりと立っていた

しかしその建物はそこにあるだけで見るものに威圧感を与える

私達は息をのんだ

自分達が知らない世界がその中にあるのだ



建物へは巨大な門を通らずには入れない

門の前で制服をきた男二人が三台の車を止めている
なにやらもめているらしい
私達は車を止め揉めている人達に近づく

「なんではいれないんだ!」

一人の男が制服をきた男にくってかかっている

「由紀ちゃんママ!」

男の近くにいた女が走り寄ってくる

「隼人くんママ・・」

今回亡くなった同じクラスのまま友だ

「ここに隼人がいるって聞いて・・だけど入れてくれないの・・」

隼人くんママは揉めている集団を振り返った

「ちょっと聞いてくるよ」

主人が揉めている人達の中に入って行った

「息子の遺体を引き取りたいだけなのに・・」

隼人くんママは泣き崩れている

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