選択
「皆さん!皆さん!落ち着いて!」

制服の男一人が声を張り上げる

「いいですか?!ここは民間の施設ではありません!国の施設です!ですから民間人が入る事は許されていないんです!」

「なんだよ!それ!」
「子供の遺体を返してください!」
「説明しろ!」

「こちらでお答えできるのはここまでです!これ以上お答えする事はできません!お帰り下さい」

「息子の遺体は?!」
「責任者を出せ!」

「お答え出来ません!お帰り下さい!」

制服の男は同じ言葉を繰り返す


「そんな説明で帰れるわけがないだろう!」
「中にいれろ!」

「ですから!」

制服の男と親達の怒声が飛び交う

ずっとこのまま押し問答が続くとおもわれた矢先に門横の警備員の休憩所の様な小屋からまた一人制服の男が姿を現した

出てきた制服の男はもう一人の制服の男に何かを伝え私達一人 一人に 入館許可書とかかれた名札を渡し始めた

いきなりの事に私達に疑問の色が浮かぶ

「中で説明すると今連絡が入りましたので」

男は私達の空気を読んだように言った

名札が全員に行き渡ると門がゆっくりと開いた


制服の男に促され私達は門をくぐる

「こちらへ」

制服の男に私達は無言でついていく

建物に入ってすぐのホールは天井がガラス張りになっていて日差しが真上から降り注いで眩しく外からの印象と全く逆の空気を醸し出していた

ホール脇の会議室とかかれた部屋に男は私達を誘導した

その部屋は正面に大きなスクリーンが置かれスクリーンを見る形でテーブルと椅子が置かれている

私達はそれぞれ椅子に座って待っていた

それほど待たされる事なく部屋のドアが開き
白衣をきた男三人とスーツ姿の男二人が入ってきた

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