選択
「息子の遺体を返してください!」

一番に口を開いたのは隼人くんママだった

白衣の男は隼人くんママをチラッと見て口を開く

「残念ながら今の段階では・・」

もう一人の白衣の男も口を開く

「ここは感染センターです
こちらに運び込まれたということはどういうことかお分かりですよね?」

人を小ばかにしたような口調

いかにも私達が迷惑といったような口ぶりだ

「こちらも今調査中なんですよ
わかりますよね?
お子さん達の死に方が普通じゃないって事ぐらい」

男の言葉で私の脳裏に昨日の光景がいきなり蘇った

酷い・・

私は手を固く握りしめた

「原因を調べる為に・・」

男が淡々と話していると主人がいきなり立ち上がり男の胸倉を掴み背後の壁にたたきつけた

「な・・」

「自分の子が・・死んだんだぞ!いきなり・・何の前触れもなく!原因を知りたいと思う事がそんなにおかしいか?迷惑か?遺体もオマエラに連れていかれて・!理由を知りたいと思うことがそんなにダメな事か?!」
「そんな・・事」

「やめなさい!」
スーツ姿の男が主人に詰め寄る

「マニュアルな回答を聞きにきたわけじゃないんだ」

主人は小さく男の耳元で何かを呟く

男の顔色がみるみる変わる
「知っていることを全て教えて欲しい」

主人の言葉に男は小さく頷く

主人は男を離し席に戻ってきた

白衣の男はもう一人の白衣の男に何かを伝えた
耳打ちされた方の男の顔色もみるみる変わる
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